GPSを活用するアプリやシステムでは、ユーザーの現在地だけでなく、移動パターンや速度も重要な判断材料となります。近年増加している「位置偽装」への対策として、GPS座標の不自然な動きや異常な速度変化を検出する方法は非常に有効です。
この記事では、GPS座標の挙動から不正を見抜く基本的な考え方と、実際の検知方法についてわかりやすく解説します。
なぜGPSの動きや速度に注目するのか?
GPSの座標は通常、数秒から数十秒ごとに更新されます。人や車が移動する際の速度にはおおよその上限があるため、座標の連続性と速度を分析すれば、「あり得ない移動」「瞬間移動」などの不自然な挙動を検知できます。
たとえば:
- 10秒間で東京から大阪に移動している
→ 現実的には不可能な移動速度(時速1000km超)であるため偽装の疑い。 - 歩行中とされているのに時速60kmを記録
→ 車両や電車に乗っているのか、偽装か、意図的な入力の可能性あり。
不正検出のためのチェック方法
1. 連続したGPS座標の差分を確認
- 2点の緯度・経度を取得し、ハーヴァサインの公式で距離を算出。
- 時間間隔で割れば**移動速度(km/h)**が出る。
2. 移動速度が常識的な範囲内かチェック
- 徒歩:〜6km/h
- 自転車:〜30km/h
- 自動車:〜100km/h
- これらを超えていれば異常と判断可能。
3. 瞬間移動を検知
- 短時間で極端に離れた地点に座標がジャンプした場合は、通常の移動とは考えにくい。
4. 移動経路の連続性をチェック
- 地図上に移動経路を描画し、「直線で不自然に飛んでいる」「軌跡が断続的すぎる」などを検出。
実装のヒント(JavaScriptなどのクライアントサイドでも可)
jsコピーする編集するfunction getDistance(lat1, lon1, lat2, lon2) {
const R = 6371; // 地球の半径(km)
const dLat = (lat2 - lat1) * Math.PI / 180;
const dLon = (lon2 - lon1) * Math.PI / 180;
const a = Math.sin(dLat/2)**2 + Math.cos(lat1 * Math.PI / 180) * Math.cos(lat2 * Math.PI / 180) * Math.sin(dLon/2)**2;
const c = 2 * Math.atan2(Math.sqrt(a), Math.sqrt(1-a));
return R * c;
}
const speed = distance / time; // km/h
注意点と対策バランス
- GPSは誤差(特に建物内や都市部)に弱く、数十mのずれは日常的に起こります。
- あまりにも厳しく検知しすぎると、正しいユーザーをブロックするリスクがあるため、「何回か異常があったら警告」など柔軟なロジックが必要です。
まとめ
GPSの不自然な動きや速度から位置偽装を検知することは、リアルな行動を前提としたアプリやサービスにとって非常に重要なセキュリティ施策です。正しいロジックと閾値を設計し、不正行為を見逃さない信頼性の高いシステム運用を目指しましょう。