かつてスマートフォン向けのWebサイト構築で多くの開発者に重宝された**「jQuery Mobile」**。
スマホ黎明期の“救世主”的存在として名を馳せたこのフレームワークは、2021年に公式に開発終了が宣言されました。
この記事では、jQuery Mobileが登場してから終了までの流れを振り返りながら、その背景や役割、そして今後の代替技術についても考察します。
📱 jQuery Mobileとは?
jQuery Mobileは、スマートフォンやタブレットなど、マルチデバイス対応のWebアプリケーションを簡単に構築するためのUIフレームワークとして、2010年にリリースされました。
- jQuery本体に依存する形で動作
- iOS、Android、Windows Phoneなど多くのOSに対応
- タッチ操作を考慮したウィジェット(ボタン・リスト・スライダーなど)が豊富
- マークアップだけでUIが動く「HTML属性ベース」の設計
当時はレスポンシブ対応やモバイル対応が難しかった時代。そんな中、jQuery MobileはHTMLを少し書くだけでモバイルUIが作れるとあって、爆発的に普及しました。
⏳ 衰退の始まりとモダン技術の台頭
2013年以降、モバイル対応の方法は急激に変化していきます。
- BootstrapやFoundationなどのレスポンシブCSSフレームワークが登場
- **SPA(Single Page Application)**ブームとともに、AngularJS / React / Vue.jsといったフロントエンドフレームワークが普及
- スマホの性能向上により、リッチで高速なネイティブライクなUIが求められるように
その中でjQuery Mobileは「動きが重い」「デザインが古い」「柔軟性が低い」といった理由から、次第に現場から姿を消していきました。
🛑 開発終了の発表(2021年)
そしてついに2021年10月7日、jQuery公式より以下の発表が行われました。
jQuery Mobile 1.5-alpha1を最後に、開発は停止します。
メンテナンスや新機能追加は今後行われず、代替手段の検討を推奨します。
参照:https://blog.jquery.com/2021/10/07/jquery-mobile-status-update/
開発の遅延は以前から続いており、最後の安定版(v1.4.5)は2014年にリリースされたまま。
その後7年以上もの間、大きなアップデートがないままプロジェクトは静かに終焉を迎えました。
🤔 なぜ終わったのか? 3つの理由
- 技術の進化に追いつけなかった
→ SPAやPWAなど、よりモダンで高速なUIが主流に - 「重い」「遅い」という評価
→ jQuery本体+UIパーツ群でファイルサイズもパフォーマンスも厳しかった - 開発の停滞とメンテナンス不足
→ コミュニティ離れも起き、実質放置状態に
🔄 現在の代替技術は?
現在は以下のような技術・フレームワークが主流となっています。
技術 | 特徴 |
---|---|
React Native | モバイルアプリをReactで構築可能 |
Flutter | Google製、UIの美しさと高速性が特徴 |
Ionic | Web技術でネイティブアプリを構築 |
Bootstrap | レスポンシブWebに強い、手軽さ◎ |
Vue.js + Vuetify | モダンなUIコンポーネントを素早く実装 |
✍️ まとめ:時代の波に翻弄されたが、功績は大きい
jQuery Mobileは、確かに古くなった技術かもしれません。
しかし、スマホ黎明期に多くの開発者を助けた「救世主」であったことは間違いありません。
- タッチ操作に対応したUI
- HTMLベースの手軽な構築
- 幅広いOSとブラウザ対応
これらを一貫した思想で実現した先駆け的存在だったのです。
💬 最後にひとこと:
「時代に取り残された」のではなく、時代の先を一度切り開いた存在だった。
今後も、こうした“終わった技術”から得られる学びはきっとあるはずです。