モデルの精度が上がらない?機械学習チューニングの基本戦略

機械学習のプロジェクトでよくある悩みのひとつが、「モデルの精度が伸びない」という問題です。正しくデータを与えて学習させたはずなのに、なぜかテスト精度が低かったり、思ったように分類や予測ができなかったり――そんなときは、モデルチューニング(調整)を行うことで改善が見込めます。

本記事では、機械学習モデルの精度向上を目指すための基本的な戦略について、初学者にもわかりやすく解説します。


1. データの前処理を見直す

モデルの性能は、「データの質」に大きく依存します。まずは以下の点を確認してみましょう:

  • 欠損値の処理:NULLやNaNが多い特徴量は除外、または補完(平均・中央値など)しましょう。
  • スケーリング:特徴量のスケールがバラバラだと学習が不安定になります。StandardScalerMinMaxScalerを使って正規化するのがおすすめです。
  • カテゴリ変数のエンコーディング:文字列のラベルは、LabelEncoderOneHotEncoderで数値に変換しましょう。

データが整っていないと、どんなに高度なアルゴリズムでも意味をなさないことを忘れてはいけません。


2. モデルの選択と構造の見直し

精度が上がらない理由として、「モデルそのものがタスクに合っていない」可能性があります。

  • 線形回帰やロジスティック回帰などのシンプルなモデルは、非線形な関係をうまく学習できないことがあります。
  • 複雑なデータ構造には、決定木・ランダムフォレスト・XGBoostなどのアンサンブル学習や、ニューラルネットワークの活用も視野に入れましょう。

また、ニューラルネットワークの場合はレイヤー数やノード数、活性化関数の選択も精度に影響します。


3. 過学習と過少学習を見極める

学習がうまく進まない場合、**過学習(オーバーフィッティング)または過少学習(アンダーフィッティング)**が起きている可能性があります。

  • 過学習:訓練データには高精度でも、テストデータには弱い。対策 → 正則化(L1, L2)、ドロップアウト、データ増強。
  • 過少学習:訓練データすら正しく学習できていない。対策 → モデルを複雑にする、エポック数を増やす、学習率を調整。

学習曲線(loss/accuracy)を可視化すると、どちらの状態かが一目で分かります。


4. ハイパーパラメータの最適化

機械学習モデルには「ハイパーパラメータ」と呼ばれる手動で設定するパラメータがあります。たとえば:

  • 学習率(learning rate)
  • 木の深さ(depth)
  • ニューラルネットワークのバッチサイズやエポック数
  • 正則化項(L1, L2)

これらを網羅的に試す(グリッドサーチ)か、効率よく探索するランダムサーチ、ベイズ最適化などを使って最適化することで、精度の改善が期待できます。

from sklearn.model_selection import GridSearchCV

# 例:SVMのチューニング
parameters = {'C': [0.1, 1, 10], 'kernel': ['linear', 'rbf']}
grid = GridSearchCV(SVC(), parameters)
grid.fit(X_train, y_train)
print(grid.best_params_)

5. 特徴量選択とエンジニアリング

データの中には、予測精度に貢献しない特徴量もあります。それどころか、ノイズになって精度を下げることすらあります。

  • 特徴量選択SelectKBestRecursive Feature Elimination (RFE)などで有効な変数だけを抽出。
  • 特徴量の作成:複数の特徴を組み合わせたり、対数や二乗などの変換を加えることで新しい情報を加えることも効果的です。

まとめ:チューニングは試行錯誤の連続

機械学習におけるチューニングは、一度で完璧な解が得られることは稀です。地道な試行錯誤と可視化、仮説検証の繰り返しが求められます。

まずは以下の5ステップを押さえて、順番に見直してみましょう:

  1. データ前処理の徹底
  2. モデル構造の見直し
  3. 過学習・過少学習のチェック
  4. ハイパーパラメータの調整
  5. 特徴量選択とエンジニアリング

これらの戦略を組み合わせることで、あなたのモデルの精度は確実にワンランク上へ進化するはずです。焦らず、データと向き合いながら改善を重ねていきましょう!


システム開発なんでもパートナー
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