近年、サイバー攻撃や情報漏えいといったITリスクは、企業の存続すら脅かす重大な問題となっています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、ITは業務の中枢を担う存在になりましたが、それに伴って情報セキュリティへの対策も極めて重要な経営課題となってきました。
こうした背景の中、企業から今強く求められているのが、**情報処理安全確保支援士(通称:SCまたは登録セキスペ)**です。この国家資格は、サイバーセキュリティ分野における高度な専門性を持つ人材を育成・認定する制度であり、その存在感は年々高まっています。
本記事では、なぜ今この資格が注目されているのか、そして企業が積極的に評価する理由について詳しく解説します。
情報処理安全確保支援士とは
情報処理安全確保支援士は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する国家資格の一つで、正式には2016年に創設されました。ITエンジニア向けの情報処理技術者試験の中でも、「高度区分」と呼ばれる上級レベルに位置付けられ、情報セキュリティに特化した専門資格です。
この資格に合格し、登録を行うことで「登録セキスペ」としての称号が与えられ、国が定める年次講習や義務を果たすことで、セキュリティ専門家としての公的な信頼を得ることができます。
企業が注目する理由①:セキュリティ人材の深刻な不足
総務省や経済産業省が発表する調査では、情報セキュリティ人材の不足は年間20万人以上とも言われており、特に中小企業では専任担当すらいないケースも珍しくありません。
ランサムウェア、標的型攻撃、クラウドサービスを狙った脆弱性攻撃など、ITリスクはますます複雑化・高度化しており、単にウイルス対策ソフトを導入すれば良い、という時代ではありません。
こうした状況において、体系的な知識と対応力を持つ「セキュリティのプロ」としての情報処理安全確保支援士は、即戦力かつ将来的なセキュリティ責任者候補として高く評価されるのです。
企業が注目する理由②:リスクマネジメントと内部統制の強化
セキュリティ事故は、単なるシステムトラブルでは終わりません。顧客情報の流出はブランドイメージの毀損につながり、株価の下落や経営陣の責任問題に発展するケースもあります。
そのため企業は、法令順守(コンプライアンス)やリスクマネジメントの一環として、情報セキュリティ対策をより組織的・計画的に強化する必要があります。
SC資格者は、情報漏えい対策やインシデントレスポンス計画、セキュリティ教育、ガバナンス体制の構築など、現場のセキュリティから経営戦略まで幅広く貢献可能です。単なる技術者ではなく、「企業の安心を支える専門職」として位置づけられている点が、企業が注目する大きな理由です。
企業が注目する理由③:公的な信頼性と制度上のメリット
SC資格は民間資格と異なり、国が認定する唯一のセキュリティ専門職であり、資格取得後は「登録セキスペ」としての公的な活動が求められます。これには毎年の講習や自己研鑽義務があり、常に最新の知識を保つことが求められます。
企業としては、こうした持続的にスキルを更新する人材を確保することで、継続的なセキュリティ体制の強化が可能になると同時に、対外的な信頼(例:取引先への説明責任、監査対応)にもつながります。
また、SC資格は補助金申請や自治体との共同事業などの条件要件として求められるケースもあり、制度面からも重要な価値を持ちます。
活用の現場:どのような職種で活かせるのか?
情報処理安全確保支援士は、以下のようなポジションで活躍しています:
- CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の運営メンバー
- SOC(Security Operation Center)アナリスト
- IT監査担当者
- システム部門のセキュリティ責任者
- セキュリティコンサルタント
- IT統括マネージャー・CISO候補(Chief Information Security Officer)
企業内だけでなく、官公庁・教育機関・医療機関など、幅広い業界での需要がある点も、この資格の価値を高めています。
まとめ:セキュリティが経営課題となる今、SCがカギを握る
サイバー攻撃は今や、いつ誰が被害者になってもおかしくない時代です。企業は「セキュリティ専任者がいない」こと自体がリスクであり、いかにして信頼できる専門人材を確保し、継続的な体制を整えるかが重要です。
情報処理安全確保支援士は、単なる資格にとどまらず、「攻めと守り」の両面から企業を支える人材として、今後ますます価値が高まっていくでしょう。
今、企業が注目しているのは、セキュリティ知識を持ち行動できる“プロフェッショナル”です。あなたもその一人になってみませんか?