SDV時代に求められるエンジニアとは?ソフトウェア定義型自動車に関わる職種まとめ

クルマが「ソフトウェアで定義される時代=SDV(Software Defined Vehicle)」へと突入し、自動車業界の開発体制は大きく変化しています。

これまでのように、車両の開発といえば機械・電気・制御が中心だったのに対し、今ではクラウド、アプリケーション、組み込みソフト、セキュリティ、UXなど、IT領域の専門性が求められるようになってきました。

この記事では、SDV開発に関わる代表的なエンジニア職種を一覧形式で解説し、それぞれの役割や必要スキルについて紹介します。


1. 組み込みソフトウェアエンジニア(Embedded Software Engineer)

役割:
ECU(電子制御ユニット)やSoC(System on Chip)上で動作するファームウェア・制御ソフトの開発。

主な業務:

  • センサーやアクチュエーター制御
  • 通信プロトコル(CAN, LIN, Ethernetなど)の実装
  • OSレス、RTOS(リアルタイムOS)環境でのプログラミング

主なスキル:

  • C/C++、アセンブリ
  • AUTOSAR、QNX、FreeRTOS などの知識
  • デバッグ/ロジックアナライザ等のハード寄りのツール使用経験

2. アプリケーションエンジニア(In-Vehicle App Engineer)

役割:
車載インフォテインメント(IVI)や、車両制御UI、クラスタ表示などの車内アプリケーションの開発

主な業務:

  • Android Automotive や Linuxベースのシステム開発
  • ユーザー向けUI/UX設計と実装
  • 音声アシスタント、ナビ、音楽アプリの組み込み

主なスキル:

  • Java, Kotlin, Qt/QML, Flutter など
  • UI/UX設計経験
  • HMI(ヒューマンマシンインターフェース)の理解

3. クラウド/バックエンドエンジニア(Cloud Engineer)

役割:
SDVでは車とクラウドが常に通信しています。そのため、データ処理・管理のためのクラウド基盤やバックエンドAPIの開発が必要です。

主な業務:

  • 車両データの収集・蓄積・分析基盤の構築(IoT向け)
  • OTA(Over-the-Air)アップデートシステムの設計
  • ユーザープロファイル管理、セキュリティ認証

主なスキル:

  • AWS, Azure, Google Cloud などのクラウド環境
  • REST API、gRPC、MQTTなどの通信技術
  • Python, Node.js, Go などのサーバーサイド言語

4. DevOps / CI/CDエンジニア

役割:
SDVの開発スピードを支えるために、**継続的インテグレーション/デリバリー(CI/CD)**や自動テストの環境整備が重要です。

主な業務:

  • 組み込みやアプリの自動ビルド/テスト環境構築
  • 仮想環境やHIL(Hardware in the Loop)テストの統合
  • ソース管理・ブランチ戦略の設計

主なスキル:

  • Jenkins, GitLab CI, CircleCIなど
  • Docker, Kubernetes
  • Git, Bashスクリプト, Python

5. セキュリティエンジニア(Automotive Security Engineer)

役割:
ネットワーク接続された車両はハッキングや情報漏洩のリスクを常に抱えています。SDVでは、車載・クラウド両面のセキュリティ対策が不可欠です。

主な業務:

  • 通信の暗号化・認証処理の実装
  • 脆弱性診断、ペネトレーションテスト
  • セキュアブートやファームウェアの改ざん防止

主なスキル:

  • 暗号技術(TLS, RSA, AESなど)
  • セキュリティ規格(ISO 21434、WP.29 CSMS)
  • 自動車向けセキュリティフレームワークの理解

6. データサイエンティスト / MLOpsエンジニア

役割:
SDVでは、走行ログ・センサー・ユーザー行動などのビッグデータを活用して価値を生むことが期待されています。

主な業務:

  • ドライバー挙動の分析と個別最適化
  • 故障予測やメンテナンス最適化
  • AIモデルの学習・デプロイ(自動運転・音声認識など)

主なスキル:

  • Python(pandas, scikit-learn, TensorFlow など)
  • MLOps環境構築
  • クラウド上のデータ処理パイプライン構築(Glue, BigQueryなど)

まとめ:SDVは「ソフトウェアの総合格闘技」

職種主な担当
組み込みエンジニア車両制御・リアルタイム処理
アプリ開発者車内UI/UX、ユーザー操作
クラウドエンジニアデータ連携・OTA・API
DevOpsエンジニア開発自動化・テスト効率化
セキュリティエンジニア攻撃対策・認証・安全確保
データサイエンティストデータ活用・予測・AI制御

SDVの開発現場では、ソフトウェアの領域が分厚くなっているからこそ、IT・Web系エンジニアが自動車業界へキャリアシフトするチャンスも拡大しています。

今後ますます「自動車開発=ソフトウェア開発」となる中で、興味のある技術領域から関わってみるのもおすすめです。

システム開発なんでもパートナー
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